気がついたら・・・

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/08/10
- メディア: 文庫
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P.277
「この大きなプログラムを書いていたら面白くって、気がついたら夏が過ぎて秋になっていた。書き始めたのは、そういえば春だったかなぁ」
この文章を読んだとき、僕は大学生だった。
ある一つの対象へ情熱を傾け、没頭し、まさに無となり、全身全霊を捧げる文章中の主人公の姿を想像して、圧倒的な尊敬と畏敬の念、そして2つの感情を抱いたのを覚えている。
自分自身がそういった対象を持たずして時間を過ごしている嫌悪感と、自分自身のそういった対象がきっとどこかに存在しているだろうという変な期待感。村上龍が「自分の好きなことは石ころのように、道端に落ちているわけがない」という言葉が頭によぎり、「好き」とはなんだろうとずっと考えていた。
それから一年以上が経過した今も、僕は自らの志向性に向き合っている。探している。見詰めている。内省を繰り返し、過去の自分が正当化した志向性の全てを疑い、精査した。その結果、やめることを決め、自らの志向性に触れてはいないと分かった書籍は全て捨てた。
暗いモヤモヤとしたシコリは残るけれど、「けものみち」を実践するうえで、常にゴールは修正されるものだと思う。だから、志向性に則って行動し、考え、それを書き出すことは間違いではないと強く思うしかないと、今はただそれだけを考えている。